カポキッチンに静かな時が流れる

カポキッチンの時間の中で、僕はひとり原田知世の歌に揺れている。


世の中の景色は再びグレー色に染まり広がってゆく。


新しく変異したコロナウィルスは、想像を超えたスピードで世界の空間を埋め尽くして行った。


僕は、カポキッチンの空間の中で一人キョロキョロと周りを眺めてみる。新型のウィルスは見えるはずも無いけど、きっと側に居るのかもしれないなと想像してみる。側にいて、僕と一緒に原田知世のアルバムを聴いて口ずさんでいるかもしれない。思わず、ドキッとしてしまう。


嫌。我が街は、再び、そんな呑気な事も言ってはいられない状況になってしまっている。この街の店、ホテル、イベントホールも再びの『停止』の様相だ。


オーナーそれぞれが時短、休業の判断に揺れているだろうと思う。


そんな僕も揺れている。


それでも、僕には、カポキッチンには、時短も休業も無い。売り上げは、もちろん下がるだろうさ。それでも、カポキッチンには、時短も休業もない。『続けるだけ』会場閉鎖を経験して来たカポは『歌い続けるだけ』


今、この瞬間は、そう思えています。


辛い時もカポで築いて来た、カポにしか出来ない活動スタイルが、カポキッチン、ここにある。


そして、僕は、今、ここに居ます。


今日、この瞬間もスイッチを入れるとカポキッチンに灯りがともる。


そして。水道をひねると、お気に入りのダスキンの浄水器を通して世界一美味しい水が飲める。


充電器を繋げると、お気に入りのBOSEのBluetoothスピーカが良い状態に立ち上がる。今は愛する原田知世のささやく歌声が流れている。


ガスコンロを捻ると青い優しい炎が立ち登る。そして、その上に僕の愛する鍋釜を乗せると、それらは熱を帯びて僕の調理素材を心待ちにしてくれる。


そして、その炎は、カポキッチンの世界一の珈琲を演出してくれている珈琲フィルターのメンテナンスもしてくれる。


だから、こんな状況でも、もうカポは、何ひとつ変わらない。


カポの歌声カフェ


カポBAR


カポらしく続けるだけです。


さて。僕は、今日もパンを焼く。


ピザを焼く。


そうとう前に、そうとう前に。きっと暮らしたであろう『オーソレミオ』を歌って『故郷に帰ったら』と言われたナポリ生活での時間を感じるパンを今日も焼く。


僕は、僕時間を、今日もカポキッチンで過ごしている。ここには、僕の今の、今までの全てが存在している。


『カポキッチンで美味しい時間を』


流れる原田知世のアルバムを聴きながら、こうしてブログ記事を書いていて、ふと、どうでも良い事を思い出してしまった。


『人生で唯一買った写真集が原田知世だったな。高校一年だったな、バンドのギターリストの家で仲間と飲んでいた。その時に僕は、買ったばかりの写真集を持って行ったんだ。あの日も酷く飲んで最後ウィスキーREDでバタンキュー記憶が飛んだ。目が覚めたら僕の下には新聞紙が敷かれていた。何故かは、想像に任せる。ギターリストKのお母さんには、あの日から頭が上がらない。さて。本題の原田知世の写真集は、実はその日を境に消えてしまった。そうだ。きっと、あの時、もう一人.原田知世ファンのTに貸したんだ…。そんな、あの日をカポキッチンで思い出している。』


僕は、なにひとつ、あの日から変わっていないんだ。


最後に。業務連絡『あの日の原田知世の写真集を借りたままだった事に気づいたTへ。その写真集は、君に差し上げます。』







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